2022 VALORANT Champions Tour Challengers Japan Stage2 – Playoff Finalsに使用されるオープニング映像を制作。
本イベントはRiot Gamesが主催するタクティカルFPSゲーム「VALORANT」の公式大会であり、日本において初めての有観客オフライン大会として、さいたまスーパーアリーナで開催された。
長い間、世界の舞台で成績を残せていなかった日本のFPS競技シーン。
そんな中で2022年4月にアイスランド、レイキャビクで行われた「VALORANT Champions Tour 2022 Stage1 Masters Reykjavík」における世界三位という記録は、日本人プレイヤーのみならず、世界からも多大なる注目を集めた。まさしく日本esportsシーンの「夜明け」であった。
また、VALORANTの競技シーンは2020年9月に行われた初の地域別公式大会「First Strike」の開催を皮切りとして、継続的に行われてきていたものの、新型コロナウイルスの感染拡大の防止のため、オンラインもしくは無観客によって試合が行われていた。
そのため、ファンからの直接的な応援が届かない場所で孤独に戦い続けてきた選手、その勇姿を画面越しでしか見届けられなかったファンにとって、初の有観客オフライン大会の開催は、これも一つの「夜明け」と言えるだろう。
全体のカラーは本イベントのテーマカラーである「緑」を軸にしているが、単調な雰囲気とならないように白と黒を交えて、カットごとのコントラストに差がでるよう意識している。
また、使用書体を含めた様々な細かい要素からVALORANT及びVCTのクリエイティブに対するリスペクトを込めた。
音響については、シューティングゲームの激しい攻防、混沌としたコロナ禍を乗り越えて実現した大規模なオフライン大会ということもあり、普段よりも攻撃性のある音に重きを置いて制作。
前半は暗く、重厚かつ神秘的な音で闘争心と緊張感を表現。少しずつ募らせたテンションを、メインとなるパートで爆発させ、大会の開幕を告げさせた。
日本代表決定戦であることから、和を感じさせるコードを用いたほか、メインパートへの橋渡しとして日本の古典音楽である雅楽の楽器「笙(しょう)」をサンプリングした音を盛り込んでいる。
夜明けと共に、「時間」をもう一つのコンセプトとした。
VALORANTのゲーム内においても時間の概念は非常に重要な要素であり、1ラウンド2分弱の時間の中で高度かつ高速な読み合いが行われるゲームである。
随所に現れるタイマーはイベントスタートへのカウントダウンであり、また、その装飾はゲーム内UIのタイマー部分を模したものになっている。
映像に使用した過去の試合の映像及び実況音声の出典は、本イベントの3ヶ月前に行われた「VALORANT Champions Tour 2022 Stage1 Masters Reykjavík」から始まり、徐々に本イベントに近い試合の映像・音声を使用しており、こちらもまた徐々に時間が「現在」に向かっていることを示唆している。
暗闇に覆われた時代で選手たちは力を磨いてきた。いつか必ず、世界を手にすると。
そして、不可能ではないことが証明された。光が差し、新しい時代がやってくる。
夜明けは間近、今こそ研ぎ澄まされた牙を見せるとき。
ベールを脱ぐ、牙を剥くなどの言葉から、時代を覆っている夜を剥がして、隠されていた力を世界に見せるという表現をした。