第10回 Crazy Raccoon Cup Apex Legendsに使用されるオープニング映像を制作。
Crazy Raccoon Cupは、esportsの発展を目的としたプロゲーミングチーム「Crazy Raccoon」主催の大会。プロゲーマー、ストリーマー、クリエイター、タレントなど、様々な分野で活躍する人物が招待されるオンラインイベント。
映画のタイトルシークエンスを意識したCGアニメーション。
クレジットでは出場チームを映画の主役に見立てており、SF的でありながら古代の碑文的な浪漫を感じる書体に、微かな風を彷彿とさせるテキストアニメーションを加えて世界観を合わせた。
また、シネマティックな音響体験を視聴環境を選ばずに届けるため、映画館のように計算された完璧な音ではなく、効果音の音量や定位にある程度の大雑把さを持たせつつ、音楽制作に通ずる処理を加えることでスマートフォンなどの再生環境でも迫力が出るようにしている。
その場面で鳴っていてほしい音を思い描いたままに、ある意味で聴覚に「嘘をつく」ことで、限られた時間の中に最大限の意味を込められるように心がけた。
「温暖化によって気候変動が深刻化し、地球での生命活動が困難となった未来。窮地に瀕した人類は、宇宙コロニーを拠点にしていた。
宇宙空間での不自由ない生活が1000年以上も続いたことから、『いつか地球に帰りたい』という願いは次第に薄れていく。
母なる大地がマイノリティーとなった世の中で、私は青く美しい姿に魅了されていた。そこで人類が生まれたと知ったとき、地球をこの目で見てみたいと強く願った。
それがどれだけ無謀なことか、現実を思い知ったのは大学生になってから。
人類の宇宙への関心は太陽系外に向いていた。自分が研究者として滅びゆく星に傾注したところで、資金提供者が現れるとは思えない。
けれど、私は諦めきれず、同志の存在に一縷の望みをかけて、その研究を支援するための資産家となる道を選択した。」
「それから20年後、私の想いは成就する。自身が資金提供をした地球の環境調査に、宇宙飛行士の一員として同行することになったのだ。
しかし、待ち望んでいた豊かな自然はそこにはなく、眼前に広がるのは剥き出しになった大地。地平線の先に何かあればと祈りながら進み続けた。」
「そんな我々にとって希望か、あるいは絶望か。
何もないと思われた荒野の果てに大きく聳え立つ岩山。近寄るまでは景色に溶け込んで見えなかったが、明らかな人工物があった。
人類が捨てたはずの地で、思いも寄らない存在と巡り合うことになる。そこには地球に取り残された人類の末裔がいたのだ。」
「曰く、我々の祖先が地球を離れたとき、人類が帰還するまでの環境保全を名目に残されたらしい。
旧人類は我々が帰ってくるのを待っていた。
捨てられたことを知りながら、地球を正しく守ることで、長い時を経て再会できると祈っていたのだ。
このまま地球を終わった星として片付けてはいけない。彼らの想いを届けなければいけない。夢が現実に、果たさなければいけない約束となった。
人類は必ず地球に帰ってくる。旧人類との約束を交わし、コロニーに向かって再び旅立つ。」